本日最終日

『海のプロセス−言葉をめぐる地図アトラス』展は本日6月18日(日)が最終日となります。

都美セレクション グループ展は東京都美術館による「企画公募」の展覧会で、ちょうど一年前、企画書と展示プランを提出するところから始まりました。

福田尚代/エンド・ロール/2016-2017/雁皮紙、墨
撮影:坂田峰夫

企画者は便宜上中根秀夫と平田星司ということになっていますが、この企画書の段階から井川淳子、福田尚代の4人で話し合いを重ね、2次審査のプレゼンテーションを通過し、その後もお互いの展覧会に足を運び、展示会場下の見も4人一緒に行い(5回を超え!)、まさに4人全員で作り上げたひとつの展覧会だと言えます。

私たちはほぼ同世代の作家で、いかなる形であれ20年以上活動を続けて来たミッドキャリアの作家ですから、期日を決めて「では当日!」と作品を持ち寄れば展覧会としては成立するはずなのですが、今回は敢えてそういう形ではなく、開催に至るまでの間、4人の作家の間で膨大な数の「言葉」をめぐるやりとりを重ねて来ました。そう「言葉をめぐる地図アトラス」。

昨日、都美セレクション展の審査員である南雄介さん、大谷省吾さんが相次いでご来館され、1年がかりのプロジェクトの完成形をお見せすることができました。その間、都美セレクション展の担当の学芸員さんをはじめスタッフのみなさん、そして多くの友人たちの協力に支えられてひとつの展覧会の形が出来上がったことは感無量です。

 

それから若干の補足情報。今回の展示に福田尚代が使用している古い木製の展示ケースは、1926年に東京府美術館として開館した当時から使用されてきたものです。偶然にこのケースの存在を知り、福田の作品も、そしてもちろん展覧会の構成自体も大きな変化を遂げたということをお伝えしておきます。

現在の私たちの生きる時代と、1926年当時からの時代をパラレルに感じること。自分や他者との繋がり、現在と過去、そして未来へと繋がる「言葉」を決して手放さないこと。

突き詰めてみると私たち4人は、同じ日本語ではあれ作家レベルとして次はほとんど「別の言語」で話していることに気づきます。梅津元さんは6月11日に行われたトークで「バベルの塔」を引き合いに出しながら、私たちすべてが「別の言語」を話すことこそが大事であり、それが「美しい」のだという趣旨の話をされていました。

私個人としては「茶色いひとつの言葉」に染まることのないようこの時代を生きて生きたいと思っています。それでは長くなりましたが皆様のご来館をお待ちしております。全ての方にとって素敵な1日になりますよう。

仲間どうしでしか見ることのできないスナプショットを少しだけ。

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